これまでの脂肪注入の問題点
この方式(W-PRP-F・幹細胞併用脂肪注入)が開発される前の脂肪注入では、生着率が顔の場合で約30%から50%・バストの場合で約20から30%でした。したがって、なるべく一度で目的を達成したい場合には、平均で必要脂肪量の約3倍の脂肪注入を行う必要がありました。つまり、脂肪注入で目的の3倍に局所を膨らませていたわけです。
この方式には大きく分けて、3つの問題点があります。
ひとつは、術後のいわゆる「腫れ」が長引くことです。
注入した脂肪が、それなりに吸収されるまでには約1か月かかります。これは、「腫れ」が退くのに約1か月必要だということです。また、3倍に膨らませて、さらに局所麻酔も大量に入っているわけですから、初期の腫れもハンパじゃありません。しかし、この問題は、時間が経てば自然に解決します。
二つ目は、麻酔です。
3倍の量の脂肪注入を無痛で行うためには、注入する箇所に、大量の麻酔薬を注入する必要があります。また、脂肪を採取するところに関しても同様です。特に、顔面や胸部への大量の局所麻酔薬の注射は、麻酔薬の血液内濃度を急激に上昇させやせやすく、最悪の場合には局所麻酔薬中毒の症状として、血圧低下・見当識障害・けいれんなど、緊急事態に発展することがあります。これらを念頭において的確に対処できれば、特に後遺症も残さず解決できるので、これも手術を受ける以上、避けがたいものと解釈することも可能でしょう。
しかし、3つ目の「しこり」の問題は、先の2つとは全く性格が異なるものです。
それは、前の2つが、手術の時のみの一時的な問題であるのに対して、「しこり」は放置しておくと、場合によっては一生、そのままの状態になってしまうことです。そして、内部に「石灰化」を起こすと、バストの場合、マンモグラフィーで癌と非常によく似た所見となり、最悪の場合には乳房切除手術となります。だから、アメリカの形成外科学会・美容外科学会では、近年まで脂肪注入による豊胸術を事実上禁止していました。しかし近年、このような脂肪注入技術の進化に伴い、アメリカでも脂肪注入による豊胸手術を行う医師が増加してきています。
それでは、なぜ、これまでの脂肪注入は、「しこり」ができていたのでしょう?それは以下の3つの原因が考えられます。
1)局所の高い内圧
2)注入した脂肪がお互いに接触し、固まる
3)太い吸引管での脂肪吸引で採取した大粒の脂肪
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