ボトックス
アメリカのアラガン社が国際商標権を持つ医薬品。日本国内においては、現在のところ、適応症が「眼瞼痙攣」のみとして、厚生労働省の承認が得られている。有効成分はBotulinumToxin TypeA。同様の製品は、今や様々な国で生産され、流通している。これらの美容目的での使用については、関係法令上、診療に使用する医師の裁量と責任において認められている。以下、日本国内においてよく使用されているBotulinumToxin TypeAについて、その違いと問題点について述べる。
ボトックス〜アラガン社(アメリカ合衆国製)
美容領域では、蛋白含有量の少ない(アレルギー反応が出現しにくい)「ボトックスCosmetics」が、アメリカでは主流。アラガン社の日本法人は、「ボトックスCosmetics」を取り扱っておらず、美容目的使用については、Botoxを出荷しない。しかも、他の疾患治療目的の場合でも、厚生労働省の指導のもと、薬事法に基づき、患者ごとの使用量や使用残の廃棄報告など、詳細なレポート提出義務がある。それを怠ると、アラガン社のブラックリストに掲載され、そのクリニックは二度とBotoxの入荷ができなくなる。したがって、これを使用しているクリニックは、日本国内において皆無であろう。これを美容目的に使用しているクリニックは、当然、不正なレポートの提出をしており、違法行為を継続・反復の意思をもって行っていることになり、薬事法違反として、行政上の処罰を受けることになるからである。
ボトックス〜アラガン社(アイルランド製)
アラガン社製ボトックスを使用している、国内の美容外科の大半が、これを使用している。一番の理由は、アメリカのボトックスよりも、格段に安価なためである(日本国内での価格はおよそ半分)。また、輸入代行業者や密輸業者が、クリニックに対してFAXやE-mailで営業をするため、クリニック側からすると、入手が容易であることも理由のひとつと言えよう。品質上はアメリカ製と遜色ないと思われるが、その輸送過程に問題がある場合が多い。BotulinumToxinは熱に弱く、溶解前で未開封のバイアル内で、パウダーの状態であっても、冷蔵保存が必要である。それを怠ると、効力が激減し、「効かない」「効果が短期間である」といったことになる。輸入代行業者や密輸業者は、日本国内では在庫を保管することができないので、製造元のアラガン社から直接日本に輸入するのではなく、香港やシンガポール、タイなど、医薬品の輸出入規制がゆるやかな国に中継地点を構え、在庫をストックしている。アイルランドから中継国へ輸送する際や、在庫として保管する際、そこから日本に発送・密輸する際に、冷蔵がなされていない場合が多く、いわゆるヒートダメージを受け、効力が激減しているものが多い。冷蔵輸送をしないのは、輸入代行業者の場合は輸送費の節約、密輸業者の場合は空港の税関で目に付きにくくするため、手荷物を小さく軽くしなければならないからである。また、納品時にも、クール便ではなく普通の宅急便で送られて来ることからも、保存温度管理の不徹底が容易に窺い知れる。
BTXA〜中国製
成分には豚のコラーゲン(ゼラチン)が入っているため、アレルギー反応が比較的高率にみられる。また、品質管理上の問題があり、1バイアルあたりの単位数が、最大20倍を超えるばらつきがある。つまり、知らないうちに、規定量の10倍の注射を受けていることがある。BotulinumToxin TypeAの性質上、1回に大量の成分の注射がなされた場合、抗体産生が起こり(成分に対して免疫ができる)、その後、一生、BotulinumToxin TypeAによる治療が無効になってしまう。
Neuronox〜韓国製
効果が薄い。納品時にクール便ではなく普通の宅急便で送られてくるためか。また、クリニック側の通関手続きが不要であることから、韓国から手荷物に隠して密輸している可能性が高い。本国において、しっかりと保管温度管理がなされたものであれば、いいものかもしれない。
Dysport〜イプセン社(イギリス製)
使用感としては、「ボトックスCosmetics」と同等またはそれ以上に強力。眼窩周辺への注入の際には、その強力な作用ゆえに、眼球症状の発生には十分に注意する必要がある。この製品も、アイルランド製ボトックス同様の流通経路を辿っている物が出回っている。尚、この製品については、アメリカのイナメッド(Inamed~Macghan)社がFDA承認申請中で、来年早々に承認・販売認可見通しである。
当院では、中国製や韓国製は使用していない。輸入に際しては、メーカーからの直接仕入れをおこない、国際クール便での輸送にて、保管温度管理をしっかりと行っている。
適応
口角の下がりを修正したい場合。口角を上げて、若々しい口元を表現したい場合。
原理
口角を下げる筋肉を麻痺させることによって、口角を上げる筋肉の力が、相対的に強く働くようにする。
効果
個人差があるが、著しい効果は3〜4ヶ月間。中には1年間効果が持続する人もいる。
術後経過
通常、注射して2〜3日後から効果を感じることができる。中には1週間後から効果が出現する人もいる。
費用
\31,500(税込)〜
特定の表情や癖によってできた、或いは、深くなったりする皺(溝)
皺を寄せる筋肉を麻痺させることによって、皺を作れなくする。